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「アジの視力は 0.1」は本当か? 論文から読み解くアジングの科学
「アジの視力は 0.1」は本当か? 出典を実際に検索・検証し、1957 年の学会誌データや最新の電子タグ調査など、実在する学術知見だけをもとにアジの視覚・回遊行動を整理しました。
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- 約 4 分
- 著者
- FishCast 編集部
- アジ
- アジング
- 生態
- 視覚
「アジの視力は 0.1 程度」――アジング系の記事や SNS で繰り返し目にする数字です。しかし、この数字の元になった論文を実際に探してみると、話はそう単純ではありませんでした。本記事では、この『視力 0.1』説の出どころを検証しつつ、実在する学術研究からアジの視覚・回遊行動について分かっていることを整理します。
「アジの視力 0.1」の出典を追ってみると
結論から言うと、「アジの視力は 0.1」という数値そのものを直接測定・明言した学術論文や水産研究機関の一次資料は見つかりませんでした。アジング系のブログやまとめサイトでは繰り返し語られていますが、出典を明示しているものはほぼ皆無です。「よく言われる数字」ほど、実は出どころを辿ると誰も一次情報にたどり着けない、というのはコンテンツ全般でよくある落とし穴です。
ただし、近い実測データは存在する
1957 年に日本水産学会誌に発表された研究では、マアジを含む魚類 27 種について、水晶体と網膜から視覚分解能 (どれだけ細かいものを見分けられるかを示す「最小分離角」) が実測されています。体長 13cm のマアジ個体で最小分離角 8.6 分という値が報告されており、人間の視力表記で使う「小数視力 = 1 ÷ 最小分離角 (分)」という変換式に当てはめると、およそ 0.12 前後になります。ただし論文自体は「視力 0.1」という表現を一度も使っておらず、これはあくまで別の指標からの参考計算です。魚と人間の視覚を単純に同じ物差しで比較すること自体にも慎重さが必要ですが、「アジングでよく言われる数字は、少なくとも荒唐無稽ではない」ということは言えそうです。
夜になると浅場へ - 電子タグが示す行動パターン
水産研究・教育機構が 2026 年に発表した電子タグ (バイオロギング) 調査では、マアジが昼間は深い水深、夜間は浅い水深で過ごすという明確な日周鉛直移動を行っていることが実測されています。視覚そのものを調べた研究ではありませんが、「アジは夜になると常夜灯まわりの浅場に差してくる」というアジング現場の経験則と方向性が一致する、興味深い状況証拠と言えます。
ワームのカラーは科学的に効果があるのか?
常夜灯下でのワームカラー (クリア系・グロー系・ソリッド系など) の使い分けが釣果にどう影響するかを検証した学術論文は見つかりませんでした。これは釣具メーカーやアジング専門ブログが積み重ねてきた実釣ノウハウの領域であり、科学的に立証された知見ではない、という前提で参考にするのが誠実な向き合い方だと考えます。
科学で分かっていること・分かっていないこと
- 分かっていること: マアジを含む魚類の視覚分解能を実測した研究があり、「視力 0.1」に近い水準という推定は成り立つ (1957 年の実測データからの参考計算)
- 分かっていること: マアジは昼夜で生息水深を変えており、夜間に浅場へ移動する行動パターンが電子タグ調査で確認されている
- 分かっていないこと: 「アジの視力 0.1」という数値そのものを直接検証した論文
- 分かっていないこと: ワームカラーの選択が釣果に与える効果
- 分かっていないこと: マアジ固有の網膜構造 (桿体・錐体比率など) の生理学的研究
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参考文献・出典
- 田村保, "A Study of Visual Perception in Fish, Especially on Resolving Power and Accommodation", 日本水産学会誌 22 巻 9 号, 1957 年, DOI: https://doi.org/10.2331/suisan.22.536
- Kinoshita, J. ほか, "Vertical Habitat Use by Japanese Jack Mackerel Trachurus japonicus Inferred From a Biologging Study in Tokyo Bay", Fisheries Oceanography, 2026 年, DOI: https://doi.org/10.1111/fog.70035
- 水産研究・教育機構 プレスリリース「新発見! 電子タグから観たマアジの生活」, 2026 年 2 月 18 日, https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/ronbun/2025/20260306.html
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